交通事故示談しない場合や示談拒否の場合は

自賠責保険にのみ加入しているケースで回答します。被害者と示談しなかった場合、
民事裁判になる可能性が高いです。また、
刑事事件に影響を与える場合もあります。

交通事故を起してしまった場合、被害者の被(こうむ)った損害を償う必要があります。そのために、被害額を確定して金銭を支払う、「示談」が行われます。しかし、場合により、加害者が被害者と示談しないケースがあります。

被害者が、損害賠償金をとるためには、民事裁判を起こす必要があります。したがって、前述のように民事裁判になる可能性が高いです。

また、加害者が、誠実に示談交渉を行っていないと評価されたケースでは、刑事事件での厳しい処分も予想されることがあります。

たとえば、被害者の請求する金額が不当に高く、又は、その請求に理由がない不当請求の場合などです。このような場合には、被害者の請求を呑む訳にはいかないので、示談をしないことがあります。

不当請求の場合には、加害者は、被害者の民事裁判提起等のアクションを待つだけで足ります(ケースによっては債務不存在確認訴訟を起こす必要もあります)。そして、民事裁判で主張・立証を尽くすことによって、
交通事故の適正な損害額が確定されます。

被害者が不当請求するようなケースでは、刑事事件化していないケースも多いですが、刑事事件化している場合には、警察・検察への対応も必要になります。つまり、警察等に対し、「被害者に対して適正な金額は支払おうと考えているが、不当な請求を受けていて示談ができていない」等と説明する必要があります。

次に、交通事故の状況や過失割合など、加害者と被害者の認識が食い違う場合に示談しない、示談できない場合があります。この場合も、加害者の対応は先ほどと同じになります。しかし、誠実に対応する必要があります。被害者の話や客観的な証拠から、被害者の主張に理由があるのであれば、折れて示談成立に努める必要もあります。

最後に、加害者が単にお金を支払いたくないから示談しない場合があります。このような場合には、被害者としては民事裁判をせざるを得ません。また、示談を行なわない理由が全くないと評価され、刑事事件化した場合には厳しい処分が予想されることがあります。

特に、不当な請求の案件や事実関係等に争いがある場合、弁護士に依頼することをお勧めします。

任意保険に加入している訳ではありませんので、被害者との対応、金額の支払い(自賠責の支払い部分を除きます)は全てご自身で行わなければなりませんが、複雑だからです。

弁護士に依頼すれば、示談すべきかどうかを適切に判断し、ケースにより、示談せずにその後の民事裁判で、支払額を大幅に減らせる場合もあります。

また、不当請求の場合などは、被害者が頻繁に電話等を行い圧力をかけてくる例があります。そして、加害者が、負担を感じて示談交渉で折れてしまうこともあります。しかし、弁護士がつけば、弁護士が加害者を代理して被害者と示談交渉するため、加害者への圧力を防ぐことができます。

また、刑事事件の処分において示談が成立しなかった場合の対処も可能です。弁護士が、検察官等に対し、示談成立ができない事情、加害者が適正な金額については支払う意思・能力があること等を正確に伝えて、刑事処分への悪影響をできる限り防ぐことができます。

被害者が亡くなられた場合には、４９日(しじゅうくにち)の期間が過ぎるのを待つのは当然ですが、遺族が気持ちの整理がついていないことも多いです。そのため、気持ちの整理がついていないことが示談拒否の原因になっていることがあります。

また、相続人が複数いる場合には、相続人の間の話合いが済んでおらず、現時点での示談拒否の原因になっていることがあります。

さらに、被害者が現在も入院中又は通院中である場合があります。その場合には、被害者が完治した時、又は、症状固定となった時でなければ被害額が確定しませんので、被害者が示談拒否をしているケースがあります。

被害者が加害者に怒りを持っているため、示談拒否している場合もあります。加害者に対する怒りのため、加害者と連絡すらしたくないか、また、刑事事件で加害者に有利となる一切の行為を拒絶するケースです。
このような場合には、まずは被害者に謝罪することから始める必要がありますが、謝罪を受け入れてくれることも難しいケースは多いです。

自賠責保険にのみ加入しているケースで回答します。

まずは、被害者が本当に「示談拒否」しているか確認する必要があります。事故から日が浅い内に被害者が示談拒否をした場合、その後に
考えが変わるケースは多くあります。また、警察等からの又聞きの場合、被害者の意向のニュアンスが異なって伝えられる場合もあります。

加害者は被害者に対し、誠実に対応してください。誠実に対応するとは、たとえば、謝罪に努める、適正な金額を支払い、被害回復に努める姿勢等を持つということです。

適正な金額の算定、自賠責保険の利用、労災保険などの控除すべき金額、過失割合などについて、ご本人様が判断して対応するのは難しいです。

弁護士に依頼されれば、弁護士が包括的・全般的に代理して対応できますので、ご本人様は安心して任せることができ、その時間をご自身の仕事等に回すことができます。

また、第三者である弁護士が説明を尽くすことで、被害者の怒りもやわらぎ示談成立につながることもあります。

特に、被害者が示談拒否している場合には、刑事事件への影響が懸念されますが、弁護士が入ることで刑事事件への影響も最小限にとどめることができる場合もあります。

検察官も、示談交渉の経緯を見て起訴・不起訴を判断します。また、刑事裁判となった場合には、裁判官も、示談の成立、示談不成立の場合には加害者の支払い能力や過去の示談交渉の経緯を重視します。

弁護士は、被害者との示談成立に努めるうえ、仮に示談が成立しなかった場合には、検察官・裁判官に対して、加害者が誠実に示談交渉していること、つまり、その提示する金額が適正であることや、加害者の支払い能力等を具体的に主張することができます。

このような事情を検察官・裁判官に分かってもらうことで、刑事事件の処分について、示談成立に準じるような影響を及ぼすことができる場合もあります。

任意保険では示談交渉サービスが付いていることがほとんどであり、加害者は任意保険の担当者に示談交渉の全てを任すことになります。

そのため、被害者が保険会社との示談を拒否した場合などには、加害者のできることは限度があります。

まずは、被害者に対して謝罪に努めてください。ただし、加害者が被害者と示談交渉することはできませんので、ご注意してください。

保険会社が、加害者が被害者と接触することに難色を示すことがあります。もし、保険会社から被害者と会わないようにとの指示を受けた場合には、弁護士にご相談ください、対応を検討します。

保険会社は、加害者の刑事事件について責任を負いません。刑事裁判で、被害者が、「加害者は謝罪にも来なかった、許せない。」と怒りを供述されることがありますが、保険会社はそのようなことまで考えてくれていないことがあります。

任意保険に加入している場合には、弁護士は刑事事件に集中して対応します。検察官の起訴・刑事裁判の判決までに保険会社の示談が成立しない場合もあるため、その対応もいたします。
たとえば、任意保険に加入しているため将来の被害回復の見込みがあることの主張はもとより、被害者に謝罪に努めて嘆願書をもらうなどできる限りご依頼者様の利益を守ります。