示談金不倫　示談の流れと示談金の相場は

弁護士を依頼することのメリットですが、請求者と直接対峙(たいじ)することを防ぐことができます。

多額の示談金請求のほか、度重なる電話や来訪などによって、精神的にまいってしまう方もいるのではないでしょうか？また、来訪などの可能性があるのではと恐怖を感じる方もいると思います。
さらに、ご本人同士での話合いですと感情的なもつれから、事態がより悪化することがあります。

弁護士が受任することによって、相手方からご本人への直接の請求をストップさせることが重要です。これにより、ご本人様は落ち着いて冷静に対応することができるからです。

弁護士が受任した場合には、まず、示談金を請求している相手宛に内容証明郵便などを送ります。そして、今後の話し合いは弁護士が行う旨を伝え、窓口をご本人から弁護士に代えます。その後、弁護士が相手と面会や、電話で話をするなどして対応します。

相手方としては、その考えが正しいかどうかはさておき、『自分は悪くない、自分の言い分を聞いてほしい。』という気持ちを有していることが大半ですので、まずは弁護士が窓口になり話を聞きます（相手方の言いたいことは聞きますが、相手の言いなりにはなりませんし、ご本人の意思に反して相手方と弁護士が勝手に何かを合意することはありません。）

このことにより、相手方の感情的なしこりが若干うすれ、ご本人への強硬な態度が和らぐことがあります。

示談金の支払額を大幅に減らせることが可能となる場合があります。また、早期の示談につながり、
長引く民事訴訟を避けることも可能となる場合があります。

弁護士は民事裁判でどの程度の金額が認められるかについて、法律的な判断、事実・証拠関係等を踏まえて判断することが可能です。

また、弁護士は民事裁判になった場合を想定して金額を算定しますので、相手方も納得しやすく、示談成立が可能となる場合があります。
示談が成立すれば、長引く民事訴訟を避けることが可能となり、ご本人様にとっても相手方にとってもメリットとなります。

示談をする場合の流れは、たとえば、次のような形があります。

まずは、示談交渉をする前に「事実の整理」をする必要があります。

ご本人の主張と相手方の主張の一致するところ、異なるところ、異なる部分についての証拠の収集、検討を行います。この段階で、ざっくりとした事件の見通しを立てます。裁判実務から逆算して、上記の収集・検討を行ないます。事件の見通しはより正確になり、どのような対処をすべきか分かるうえ、
初期に見通しを誤る可能性は減ります。

次に相手方との交渉を行ないます。

不相当な金額の請求など、到底受け入れられないような条件については毅然と対応した上で説得し、相当な額の慰謝料であったり、ご本人様が応じることができる条件が呈示される場合には合意に向けて話し合います。

弁護士に依頼される場合には、弁護士が上記の話合いを代理します。民事裁判で認められるような金額が示談金の相場となりますので、弁護士が
民事裁判を踏まえて説得交渉を行なうことができます。

最後に、合意書（示談書）の取り交わしを行ないます。

相手方とご本人様の条件が折り合った場合、合意内容を書面に記した合意書を取り交わします。

不貞慰謝料の場合の合意書の内容としては、たとえば、次のようなものになります。

裁判所の判断が不統一であれば、公平な解決が実現されませんので、示談金のおおよその相場はあります。

不倫慰謝料の請求と言っても、次のような二つのケースに分けられます。

①配偶者から慰謝料を請求されたケース（たとえば、妻がいるにもかかわらず他の女性と性交渉した場合の妻からの慰謝料請求）
②浮気相手の配偶者（第三者）から慰謝料を請求されたケース（たとえば、夫がいる女性と性交渉した場合の女性の夫からの慰謝料請求）とがあります。
まず、①配偶者から慰謝料を請求されたケースについて説明します。

金額の相場ですが、どのような事実が慰謝（いしゃ）の対象となるかによって金額は異なってきます。

不倫についての慰謝であれば、事案にもよりますが、５０万円から１００万円ぐらいでしょう。つまり、配偶者が不倫することで、裏切られた気持ち、気分の激しい落ち込み、許せない気持ちなど様々な苦しい思いをされますが、その苦痛を金銭的に評価した金額は前述の相場になります。

なお、今後も夫婦関係を継続していくため、裁判等で、配偶者から慰謝料が請求されるケースはあまり見たことがありません。夫婦の内部の取決めで、ペナルティーが科されることが多いでしょう。

他方、不倫という事実の慰謝に加えて、夫婦関係が破壊された（離婚）という事実の慰謝が問題となっているのであれば、１００万円から３００万円程度になります。

つまり、配偶者の不倫が、夫婦関係破たんの大きな原因となったのであれば、先ほどの精神的苦痛に加えて、結婚して家庭を築いてきたことが報われなかったこと、生涯を伴にする相手を失う苦痛、子供や親戚関係に与える影響等、離婚によって多大な精神的苦痛をうけますが、その苦痛を金銭的に評価した金額としては前述の相場になります。

浮気相手の配偶者（第三者）から慰謝料を請求されたケース（先ほどの質問のケース②）について、示談金の相場を説明します。前述と同じように、どのような事実が慰謝（いしゃ）の対象となるかによって金額は異なってきます。

不倫についてだけの慰謝であれば、１０万円から８０万円ぐらいでしょう。なお、不倫の一番の原因は、誘いを断らないで配偶者を裏切ってしまった他の配偶者にあります。そのため、慰謝料の請求額は、通常、配偶者に対して請求する慰謝料金額よりも低くなります。

他方、不倫という事実だけでなく、夫婦関係が破壊された（離婚）という事実が問題となる慰謝料であれば、８０万円程度から１５０万円程度でしょう。なお、ここでも、前述のように、通常、配偶者へ請求する慰謝料よりも低くなる傾向があります。

しかし、たとえば、夫が、間男（まおとこ）に対して、妻の慰謝料分も加算して請求してくると話は変わります。妻と間男は、共同不法行為という扱いになりますので、賠償義務について連帯責任となるからです。

たとえば、夫がうけた精神的苦痛を金銭的に３００万円と算定し、そのうち２００万円は妻が原因で、残り１００万円は間男が原因だったと仮定します。夫が、間男の責任だけ損害賠償請求するのであれば、損害賠償請求は１００万円しか認められません。

しかし、夫が、連帯責任として妻の慰謝料分も加算して請求すると、間男は３００万円の全額を支払わなければなりません。なお、間男は３００万円を支払った後、夫の妻に対して２００万円を求償するという形になります。

上記のように、慰謝料の算定や手続き等、複雑なことが多くあります。弁護士に相談・依頼することで、後悔しない適正な金額・手続で事件が解決することが多くあります。

ご本人様と相手方の交渉が合意に至らなかった場合、相手方がご本人宛に『不法行為に基づく損害賠償請求』という訴訟を起こしてくることがあります。

訴訟が起こされ、訴状がご本人に届いた後、何もせずに放っておいたり、また、安易に認めたりしてはいけません。

なぜなら、裁判の期日に反論の書面を出したり、出廷しなかった場合には、『欠席裁判』となり、相手方の主張が正しいとされ、相手方の請求額が認められてしまいます。

また、ご本人が訴訟で認めてしまえば、同じく、相手方の主張が正しいとされ、相手方の請求額が認められてしまうためです。

訴訟が提起された場合、ご本人での対応は困難かと思います。いたずらに訴訟が長引いたり、不利な結果となるリスクも高いです。
相手方から訴訟を提起された場合には、速やかに弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

弁護士に相談・依頼することにより、速やかに訴訟が終了し、相手方、ご本人様ともに、これからの人生を考えていくことができます。いつまでも、不倫、離婚等の争いを続けるのはマイナスなこともあります。