刑事事件示談成立で起訴や前科を防げるか
起訴・不起訴の判断に大きく影響
目次
Q 起訴とは何ですか?逮捕されることとの違いを教えてください。
起訴とは、検察官が、裁判所に対し、起訴状(刑事手続の訴追の際に提出する書面)を提出して、事件の審理と裁判を求めることを言います。
逮捕とは、警察などが、短期間、罪を疑われている人の身体の自由を拘束することを言います。
逮捕は、あくまで、罪証隠滅や逃亡を防止することが目的です。逮捕手続は、罪を犯しているかどうかなどの調査を実効的に進めるために行われます。
著名人が逮捕されると新聞報道されることがありますが、逮捕されたからと言って、必ず起訴される訳ではありません。逮捕された被疑者のうち、起訴されない事件は、約40~50パーセント前後になります(交通事故の業務上過失致死傷罪、道交法違反事件を除いた事件です)。他方で、起訴されると99パーセント以上の確率で有罪となります。
したがって、逮捕されたからといって、諦めるべきではありません。不起訴(起訴猶予)獲得のために、できる限りの対応をすべきです。
逮捕された後、通常、検察官は、勾留期間(勾留延長を含みます)の満期に処分(起訴・不起訴)を決めます。逮捕は最長72時間で、勾留は最初10日間、勾留延長が10日間と、最長でも合計23日間と期間が短く、短期間の戦いとなります(特殊な犯罪では更に5日間の勾留延長があります)。
したがって、1日でも早く弁護士に依頼して、不起訴(起訴猶予)獲得のために活動されるのが重要です。
弊所では、365日24時間、専門スタッフが電話を受け付けております。弁護士へのご相談についてはできるだけ迅速にお受けすることができますので、是非、お電話ください。
Q 略式起訴という言葉を聞きました。正式な起訴との違いは何ですか?
略式起訴(略式命令請求)とは、検察官が、起訴と同時に略式手続を請求することを言います。なお、略式起訴を行なうには、被疑者が略式手続によることに同意することが条件となります。
略式手続とは、非公開で行われ、書面審理だけで刑を言い渡す簡易な刑事裁判手続です。簡易裁判所が100万円以下の罰金又は科料を言い渡す場合に行われます。
他方、正式な起訴による通常の裁判手続は、公開の法廷で行われ(傍聴人がいる場合があります)、口頭で、慎重に審理を行い刑を言い渡しますが、刑の上限・下限は死刑から科料まで幅広い範囲に及びます。
刑事裁判は短い期間であっても、1、2か月かかる場合が多く、被告人に負担になるなど弊害があります。略式手続はこれを解消するために、設けられた制度です。最近の事件数では、起訴される事件の約8割が略式手続になっています。
ただし、検察官の略式起訴に対して同意するかどうかは、注意も必要です。確かに、略式起訴になれば罰金以下の刑となり、又、すぐに刑事裁判が終わるなど負担は軽くなります。
しかし、罰金、科料はあくまで有罪判決ですので、前科が付きます。
正式裁判とするには証拠が弱い事件で、本来なら不起訴(起訴猶予)が相当な場合にも、検察官が略式起訴する可能性もない訳ではありません。事実関係等に争いがある場合などには、安易に同意しないことが必要です。弁護士にご相談ください。
なお、略式手続と似た別の制度として、即決裁判、簡易公判手続があります。略式手続を含むいずれの制度(略式手続、即決裁判、簡易公判手続)も、認め事件の刑事裁判を迅速に終わらすことを目的にしている点は同じです。しかし、その対象となる事件や、迅速な手続の内容が異なります。
即決裁判は、執行猶予判決の見込まれる事件を迅速に処理する目的で設けられた制度です。即決裁判は、略式手続とは異なり、懲役、禁固刑も言い渡されますが、必ず執行猶予がつきます。
簡易公判手続は、裁判手続を省略し、又、証拠調べを簡易化した手続です。簡易公判手続では、必ずしも、罰金以下の刑となったり、又は、執行猶予が付くという訳ではありません。
Q 起訴されると前科・前歴は付きますか?
起訴されると、無罪や公訴棄却等にならない限り、前科は付きます。また、起訴されなくとも、捜査の対象となれば前歴は付きます。
前科とは、判決で刑(懲役刑、禁固刑、罰金刑、科料)の言渡しを受け、その判決が確定したことをいいます。前科は、裁判所と市町村役場の犯罪人名簿に登録されています。なお、犯罪人名簿は公開されていません。
その刑の種類にもよりますが、前科は、刑事裁判での執行猶予の欠格事由や、累犯加重の事由となります。また、公務員や一定の資格制限(弁護士、医師、看護師など)となります。
なお、少年(20歳に満たない者)の時に犯した罪は、前科にはなりません(少年法60条)。
前歴とは、捜査の対象となったことを言います。
前歴は、前科と異なり、裁判所・市町村役場の犯罪人名簿に登録されることはありません。
また、刑事裁判の執行猶予の欠格事由や、医師などの資格制限になることはありません。前歴は、あくまで捜査機関内部の情報にとどまります。
Q 起訴されたとき、前科が付く確率、有罪率を教えてください。
犯罪白書によれば、平成25年の裁判確定人員は36万5291人で、そのうち無罪は122人となっています。
便宜上、裁判確定人員を分母にすれば、有罪率は約99.9666パーセントになります(注)。有罪となれば前科が付きますので、前科が付く確率も約99.9666パーセントになります。
なお、無罪事件も122人と数自体としては多いです。また、認め事件の略式請求が起訴事件の8割を占めるうえ、通常の公判請求の事件の多くも認め事件です。
したがって、罪を犯していないとして争う場合、上記のパーセンテージを過度に評価すべきではありません。
注) 犯罪白書によれば、その他(免訴、公訴棄却、管轄違い及び刑の免除)が345人となっていますが、上記では計算の便宜上考えていません。
Q 示談が成立することで、起訴は免れますか?
示談が成立することで、必ず起訴を免れることができるとまでは言えません。
起訴・不起訴の判断ですが、検察官が、示談の成立だけでなく、加害者の反省の程度、前科の有無、犯罪の種類・態様などを総合考慮して判断するからです。
しかし、示談の成立は、事件にもよりますが、起訴・不起訴の判断にかなり大きな影響を与えます。
また、器物損壊罪や強姦罪などの親告罪では、起訴までに示談によって告訴取消しをしてもらえれば、必ず起訴は免れます。
Q 示談が成立することで、起訴を免れる確率を教えてください。
示談成立による不起訴率を示すのは難しいです。具体的な統計がある訳ではないからです。
また、起訴・不起訴の判断は、示談の成立だけで決まるものではないからです。
結局は、具体的事情を把握している担当弁護士に、見通しを聞いてみるのが一番だと思います。
もっとも、事件にもよりますが、示談の成立が、起訴・不起訴に大きな影響を与えることは知っておいて欲しいと思います。
犯罪白書によれば、平成25年の検察庁が最終的に処理した事件において、起訴猶予率は65.2パーセントになっています(刑法犯と特別刑法犯を含む全体の数字です)。
この数字から明らかなように、起訴猶予は狭い門ではないのです。このため、刑事事件では、示談の成立に努め、反省などをすることによって、起訴猶予になることが一番重要です。ちなみに、起訴されれば、約99.9666パーセントの確率で有罪です。
変な言い方になるかもしれませんが、起訴猶予を目的にするのは、努力が実りやすいのです。
また、器物損壊罪や名誉棄損罪などの親告罪については、示談によって告訴取消しをしてもらえば、100パーセント起訴を免れます。
Q 起訴後に示談をした場合でも、前科が付くことを防ぐのに役立ちますか?
起訴後の示談は、残念ながら、前科が付くことを防ぐことはできません。示談の成立によって刑事裁判を終了させる制度はないからです。
しかし、起訴後の示談であっても、次のような大きなメリットがあります。
まず、示談の成立は、裁判所の量刑判断に大きな影響を与えます。具体的には、執行猶予がつき、刑務所に行かなくて済む確率が高くなります。
また、仮に実刑の場合であっても、刑期が短くなる確率が高くなります。
執行猶予がつけば、前科が末梢される期間が早くなります。なぜなら、執行猶予を取り消されることなく猶予期間が経過すれば、刑の言い渡しは効力を失い、前科が末梢されるからです(刑法27条参照)。執行猶予期間は1年から5年の間ですので、その期間内に執行猶予が取り消されるようなことがなければ、刑務所に行かないだけでなく、前科も末梢されるのです。したがって、執行猶予がつくかどうかは、大きな違いになります(注)。
次に、示談の成立は、民事裁判に伴う負担をなくします。民事裁判になれば、弁護士費用等もかかるうえ(弁護士に依頼された場合)、時間や労力もとられ、さらには心理的な負担もあります。示談の成立により、刑事事件と民事事件を一体として解決することが可能となるのです。
ただし、刑事裁判中においては、被害者の言い値で示談させられるということもない訳ではありません。被害者の求める金額が不当である場合には、民事裁判で争うことが、逆に加害者側の権利(メリット)になるという面もあります。民事裁判で認められるような適性金額を基準にして、刑事裁判への影響も考えながら、場合によって、どの程度妥協するか考えていくことになります。
最後に、示談の成立は、何よりも被害者との関係改善につながり、また、ご本人様の申し訳ないと思っているお気持ちを和らげることができます。刑事裁判や民事裁判への影響だけでなく、示談はこのような点でも重要です。
注) 執行猶予がつかずに実刑となった場合ですが、次のようになります。
禁固以上の実刑のケースでは、刑の執行後又は執行免除の後10年の経過で前科の末梢となります。また、罰金以下の実刑のケースでは、刑の執行後又は執行免除の後5年の経過で前科の末梢となります。
いずれの場合も、その期間中に、再度罰金以上の刑に処せられないことが、前科末梢の条件となっています(刑法24条の2第1項)。
代表弁護士紹介
カスタマーレビュー
迅速な弁護活動のおかげで、示談成立。適切な会社対応で、今まで勤務していた会社に戻れた。
by 死亡事故を起こしてしまった方のご家族
★★★★★
■年■月上旬に息子が会社の帰宅中、自家用車を運転中に携帯電話にメールの着信があり、メールの内容を確認した際に前方確認を怠り、同方向へ進んでいた自転車に後方から追突してしまいました。自転車を運転された方は脳挫傷の怪我を負い、数時間後にお亡くなりになりました。
息子から事故の一報を受け、救急車の手配、警察への連絡を既に行ったことは確認できましたがそれ以降は何の音沙汰がありませんでした。息子は現行犯で逮捕され、最寄りの警察署に勾留されていました。
私共夫婦は、翌日に被害者のご家族へ謝罪することができましたが、今後、息子がどのような状況になるのか解りませんでしたので「アトム法律事務所」へ相談しました。
今回、息子の弁護を野根弁護士が引き受けて下さいました。早々に息子と接見して頂いたり、息子が勤務した会社の上司へ面会して下さったり、その報告を随時連絡して頂きました。野根弁護士は息子と何度か接見して頂いており、息子も精神的に落ち着くことができたと思います。また、息子と頻繁に面会することができない私共夫婦にとってはその報告がとても助かりました。
勾留期間の延長に対し、勾留延長決定に対する準抗告を行って頂き、息子は保釈できました。国選の弁護士では保釈請求の手続き等は自ら進んで行わないと聞いています。
■月中旬に公判が行われ、判決は量刑に執行猶予が付くことになりました。息子は現在、今まで勤務させて頂いた会社で就業しています。被害者ご家族への償いの気持ちを忘れずに息子が早く自立し、今後の生活を営むことを見守りたいと思っています。
本当に野根弁護士はじめアトム法律事務所のスタッフの皆様へ感謝いたします。
様々な状況で難航した示談交渉を粘り強くまとめてくれたので、普通の生活に戻れた。
by 暴行事件を起こしてしまった方ご本人
★★★★★
自分は悪くない、でも法律上は暴行罪に該当。では相手は何故突き飛ばしておいて不問なのか?証拠もなければ私の主張を客観視できる目撃者もいない。罰金を払いたくないのではなく、不合理な状況に対処法がわからない時にアトムさんを知りました。
担当の野尻先生は、冷静かつ傾聴の姿勢で接して下さり、コミュニケーションを大事にして下さいました。様々な状況で難航した示談もまとめて頂き、普通の生活に戻れました。
おかれている状況を客観的に判断し、より良い状況に導いて頂いたと深く感謝しています。有難うございました。
弁護士先生が接見に来てくれた時は地獄に仏と思った。釈放、示談、不起訴、社会復帰のすべてを実現
by 痴漢事件を起こしてしまった方ご本人
★★★★★
酩酊したまま警察署で事情聴取され一旦自宅待機させられたときにアトム法律事務所24時間受付の方に刑事弁護について相談させて頂きました。
そして約2時間後の朝7時、逮捕・拘留され、約5時間におよぶ事情聴取、全く時が進まない留置所の生活が始まりました。もう人生終わりだ…。と思った夜の8時30分、永田先生に接見して頂きました。(地獄で仏)
「検察に訴えて拘留を阻止…。不起訴になるよう示談し、告訴を取り下げて…。一刻も早く社会復帰ができるよう…。」信じられないような言葉の数々、しかしそれらをすべて迅速に実現して頂きました。
今、こうしてこれまでどおりの社会生活を送れるのは、アトム法律事務所および永田先生のおかげです。心底から自身の過ちを反省し、日々自分の言動に細心の注意を払って生活して参ります。
本当にありがとうございました。
処罰感情の強い被害者に対して、粘り強い交渉で示談成立。被害届は出されず、事件化せずに無事解決。
by 盗撮事件を起こしてしまった方ご本人
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被害者の処罰感情がとても強く、事件化は避けられないと思っていました。
2ヶ月の期間の末、示談が成立し、被害届も出されることもなく終わり、とても感謝しております。
これからは、家族のため一生懸命働いて、償っていきたいと思います。
刑事事件に強い弁護士が、遠方の被害者との迅速な示談交渉で前科がつかなかった。会社対応も安心。
by 強制わいせつ事件を起こしてしまった方のご本人
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この度は本当にありがとうございました。野崎先生には本当に感謝しています。1週間後に警察署に来るように言われ、とても不安で何か相談できないかとインターネットで見たのがアトム法律事務所でした。福岡にも事務所があり、刑事事件に強く、職場などへの対応も考慮していることから、かなり安心感がありました。
警察署に行き、逮捕され、これから長い取調べの日々が続くかと苦痛でしたが、野崎先生が被害者様との示談を急いで下さり、また警察署と事務所も遠いのにすぐに来て下さり、想像以上に早く出てくることができました。遠方の被害者様のところにもすぐに行ってくれて本当に助かりました。アドバイスもとても参考になりました。取調べの時もしっかり守ることができました。本当にありがとうございました。
弁護士先生の「本当に助けてあげたい」という熱意・人間味に感動。丁寧に説明・対応してくれた。
by 強姦未遂事件を起こしてしまった方のご家族
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突然の息子の逮捕の一報を受け、パソコンから様々な弁護士事務所を検索・調査した結果「刑事事件に強い!」「24時間受付」から翌朝電話しました。
私としても勿論すべてが初めてのことで何をしていいのか全く分からないのを、1つ1つ丁寧に説明・対応して下さいました。
特に驚いたと言いますか、感動したのは、先生方の「本当に助けてあげたい」という熱意・人間味です。
お蔭様で息子は示談成立、不起訴となりました。
先生方は息子の将来、希望、夢、光すべてを不可能な領域から全力で与えて下さいました。親共々感謝という一言ではとても終わらせられない、とても大きな感情を持ち続けていくと思います。
本当にありがとうございました。
粘り強い示談交渉で困難と思われた執行猶予付き判決を獲得。保釈中の生活面も適切に助言してくれた。
by 詐欺事件を起こしてしまった方のご家族
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息子の突然の逮捕、勾留と何も解からず不安な毎日の中、野根先生には常に親身になり対応して頂き、息子も私も大変感謝致しております。難しいと思われていた執行猶予付き判決も頂き、被害者の方々への示談交渉や、保釈中での生活面等を適切に助言をして下さいました。
今は息子も仕事に従事し懸命に前を向き頑張っております。日々平凡な家族での生活に感謝し、これからも過ごして行きたいと思います。
野根先生を始め、アトム法律事務所の方々のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
野根先生、有難うございました。
今の状況や今後の処遇について丁寧に説明してくれたおかげで慌てずに対応できた。会社にも残れた。
by 窃盗未遂事件を起こしてしまった方ご本人
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