刑事事件刑事事件の示談金の相場は
民事裁判で認められる額が目安
目次
Q 刑事事件の示談について質問です。示談金に相場はありますか?
示談金の相場(妥当とされる金額)は、基本的に、民事裁判となった場合に判決で見込まれる金額となります。
確かに、示談交渉では、どのような金額で合意するかは当事者次第になります。過小な金額、又は、高額な金額でも、その金額で合意すれば示談成立となります。
しかし、当事者間で合意できなかった場合には、最終的に民事裁判で決着をつけることになります。そのため、示談交渉では、将来の民事裁判の見込みを踏まえて対応することになり、民事判決が相場となります。
民事判決で見込まれる金額は、通常、過去の民事裁判例を参考にして判断します。弁護士であれば、類似裁判例で認められた賠償金額を探し、それに当該事件の特殊性、立証面での不利・有利の判断などを加えて、賠償金額の見込みを算定します。
Q 示談金相場の修正事項はありますか?
示談金の相場についてですが、多少の修正事項はあります。たとえば、次のような事実上の修正事項があります。
①刑事裁判の量刑への影響や(示談金が高くなる方向に働く)
②強制執行で回収できないリスク(示談金が低くなる方法に働く)
③民事裁判の労力等の負担(示談金が低くなる方向に働く)
④後に禍根を残さずに円満に解決したい(示談金が低くなる方向に働く)
また、刑事裁判の約8割は、略式手続という罰金以下の刑で終わります。そして、示談の成立によって、略式手続の裁判にさえならずに刑事事件が終わる場合も多くあります。
そのため、被害者の求める示談金が、略式起訴された後に科される罰金の額を大きく上回る場合には、加害者が「罰金を支払った方がまし」と考えて示談に応じないことも少なくありません。したがって、科される罰金の額は、場合によっては示談交渉の出発点になることもあります。
なお、罰金を支払っても、被害者の損害賠償請求権がなくなる訳ではありません。加害者は、刑事裁判終了後も被害者の被害回復に努める必要があります。
下表は、法律、裁判例、弊所のデータベース等を参考にして作成したものです。
示談金の例 | 罰金の例 | 罰金の上限 | |
---|---|---|---|
交通事故 | 15~3000万円 | 10~70万円 | 100万円 |
暴行傷害 | 5~200万円 | 10~50万円 | 50万円 |
痴漢 | 20~100万円 | 30~50万円 | 50万円 |
盗撮 | 30~100万円 | 20~80万円 | 100万円 |
わいせつ | 30~380万円 | 法定刑に罰金なし | 法定刑に罰金なし |
強姦 | 10~500万円 | 法定刑に罰金なし | 法定刑に罰金なし |
児童買春 | 10~50万円 | 50~100万円 | 300万円 |
※罰金の上限を算定するにあたって、併合罪の場合を除きます。児童買春は、勧誘等の行為を含みません。交通事故の場合、任意保険で示談が成立することがあります。なお、被害者の後遺障害によって3億円以上の賠償金額となることもあり、このような場合には示談では解決できないと考えられます。なお、傷害事件でも同じく、後遺症により高額となる事件もあります。
参考1)罰金の上限について
・交通事故は、過失運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)、又は、業務上過失致死傷罪(刑法211条)
・暴行傷害は、傷害罪(刑法204条)
・痴漢は、東京都「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」第5条1項1号、8条1項2号。
・盗撮は、同条例第5条1項2号、同8条2項
・児童買春は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第4条
Q 示談金は、どのような金額を含みますか?
示談金は、通常は、民事裁判で認められるような損害額を基準(相場)とします。民事裁判で認められる損害賠償額は、加害行為と結果との間に相当因果関係がある全損害を金銭的に評価したものです。
そのため、民事裁判で認められる損害賠償額には、次のような相当因果関係があるもの全て含まれます。
①物を破損させた場合の修理費
②治療費、入通院費
③後遺症による逸失利益
④精神的苦痛に対する慰謝料
⑤引越し費用など
したがって、示談金には、上記のような金額を全て含める必要があります。他方、たとえば、うつ病などの損害は、相当因果関係がないとして民事裁判で認められないケースもあるため、示談金の対象とならないことがあります。
Q 刑事事件で、示談金を相場より多く払うと刑が軽くなることはありますか?
示談金を相場より多く払うことで刑が軽くなる影響はあります。
示談金を相場より多く支払うことで示談成立につながったという場合はもちろんです。また、そうでなくとも、加害者の反省等を示す事実等と評価されると考えられるからです。
既に犯してしまった犯罪事実を変えることはできません(ただし、犯罪事実が認識と異なる場合には争うべきです)。
しかし、示談や被害弁償は、今からでも行うことができます。また、示談や被害弁償も、量刑判断に大きな影響を与え、被害者のためにもなりますので、積極的に行うべきです。
被害弁償よりも、示談成立の方が、一般的に量刑判断に影響を与えます。したがって、相場よりも多く示談金を積むことで示談成立が可能であれば、示談成立させるのも方法の一つです。また、相場よりも多い示談金の支払いは、加害者の反省を示す事実等と評価されます。
ただし、お金の支払いだけを過大視されないでください。被害回復も示談の成立も、通常は、民事裁判で認められるような損害額を基準(相場)とします。既に、十分に被害回復がされている場合にはそこまで量刑に影響がないことがあります。
また、一般情状には、被害弁償・示談の成立の他にも色々な情状事実があります。今回の事件を省みて二度と同じような犯罪を起こさないよう反省するのも、とても重要なことです。
したがって、被害者に対し、相場よりもお金を支払われることは量刑へ影響します。しかし、十分に被害回復がなされている場合には、その他の事情の方が重要になるということを忘れないでください。
Q 刑事事件で示談しない場合の「損害賠償命令制度」について教えてください。
損害賠償命令制度は、犯罪被害者援助制度の一つで、損害賠償請求の裁判手続の特例として平成20年12月から施行されている制度です。
損害賠償を命じる民事事件と、被告人に刑罰を科す刑事事件は、別制度となります。そのため、刑事裁判が行われても、被害者が民事裁判を起こさなければ、被害者の被害回復はなされない現状がありました。しかし、被害者が、別途、民事裁判を起こすのは労力ともに大変です。そこで、そのような弊害を解消するために損害賠償命令制度が設けられました。
損害賠償命令制度は、次の一定の重い犯罪の場合に利用できます。①故意の犯罪で死亡させ、又は傷害を負わせた罪(殺人罪、傷害罪、強盗致傷罪など)、②強制わいせつ罪、強制性交等罪(旧強姦罪)、③逮捕・監禁罪、④略取・誘拐の罪などです。なお、いずれも、未遂罪を含みます。
損害賠償命令制度の手続ですが、刑事事件を審理している地方裁判所に対して書面で申し立てをします。損害賠償命令制度は、検察官の起訴後から刑事事件の弁論の終結時(検察官、弁護人の主張・立証などが全て終了した時)までに申し立てなければなりません。
また、損害賠償命令制度の審理は、刑事の判決言い渡し後に開始されます。
損害賠償命令制度の結果は、民事裁判と同じく、強制執行手続ができます。
ただし、損害賠償命令制度の結果に対して、異議が述べられれば、通常の民事訴訟手続に移ることになります。
損害賠償命令制度では、刑事裁判を行なっている裁判所と同じ裁判所が、民事上の損害賠償請求について判断します。おおむね4回以内の審理で結論を出すので、通常の民事裁判よりも簡易・迅速に事件が解決します。
また、損害賠償命令制度の申立て手数料は、一律に2000円となります。通常の民事裁判の手数料よりもかなり安い金額になっています。
なお、弁護士に依頼する場合には弁護士費用は別途かかります。損害賠償命令制度の申立て、審理の代理などは、弁護士に依頼することができます。
また、損害賠償命令制度では、刑事事件を担当した同じ裁判所が損害賠償請求を審理します。なお、刑事記録が引き継がれるため、立証などによる被害者側の負担がかなり軽減されています。
なお、通常の民事訴訟では、ご自身が刑事記録を取り寄せて、別途、証拠等として提出する必要があります。民事訴訟では、一からの主張・立証等となり、被害者の負担は重いものがあります。
なお、加害者側にとって、損害賠償命令制度は、負担が重くなる制度と言えます。
損害賠償命令制度があるため、被害者が示談に応じなくなる可能性があるからです。また、刑事事件終了後、民事上の請求がなされるのは多くありませんでしたが、これからは、民事上の請求もなされる可能性が高くなるからです。したがって、示談の成立を考える場合、これまでよりも、被害者に対し、誠心誠意謝罪に努めていくことが重要になります。
代表弁護士紹介
カスタマーレビュー
迅速な弁護活動のおかげで、示談成立。適切な会社対応で、今まで勤務していた会社に戻れた。
by 死亡事故を起こしてしまった方のご家族
★★★★★
■年■月上旬に息子が会社の帰宅中、自家用車を運転中に携帯電話にメールの着信があり、メールの内容を確認した際に前方確認を怠り、同方向へ進んでいた自転車に後方から追突してしまいました。自転車を運転された方は脳挫傷の怪我を負い、数時間後にお亡くなりになりました。
息子から事故の一報を受け、救急車の手配、警察への連絡を既に行ったことは確認できましたがそれ以降は何の音沙汰がありませんでした。息子は現行犯で逮捕され、最寄りの警察署に勾留されていました。
私共夫婦は、翌日に被害者のご家族へ謝罪することができましたが、今後、息子がどのような状況になるのか解りませんでしたので「アトム法律事務所」へ相談しました。
今回、息子の弁護を野根弁護士が引き受けて下さいました。早々に息子と接見して頂いたり、息子が勤務した会社の上司へ面会して下さったり、その報告を随時連絡して頂きました。野根弁護士は息子と何度か接見して頂いており、息子も精神的に落ち着くことができたと思います。また、息子と頻繁に面会することができない私共夫婦にとってはその報告がとても助かりました。
勾留期間の延長に対し、勾留延長決定に対する準抗告を行って頂き、息子は保釈できました。国選の弁護士では保釈請求の手続き等は自ら進んで行わないと聞いています。
■月中旬に公判が行われ、判決は量刑に執行猶予が付くことになりました。息子は現在、今まで勤務させて頂いた会社で就業しています。被害者ご家族への償いの気持ちを忘れずに息子が早く自立し、今後の生活を営むことを見守りたいと思っています。
本当に野根弁護士はじめアトム法律事務所のスタッフの皆様へ感謝いたします。
様々な状況で難航した示談交渉を粘り強くまとめてくれたので、普通の生活に戻れた。
by 暴行事件を起こしてしまった方ご本人
★★★★★
自分は悪くない、でも法律上は暴行罪に該当。では相手は何故突き飛ばしておいて不問なのか?証拠もなければ私の主張を客観視できる目撃者もいない。罰金を払いたくないのではなく、不合理な状況に対処法がわからない時にアトムさんを知りました。
担当の野尻先生は、冷静かつ傾聴の姿勢で接して下さり、コミュニケーションを大事にして下さいました。様々な状況で難航した示談もまとめて頂き、普通の生活に戻れました。
おかれている状況を客観的に判断し、より良い状況に導いて頂いたと深く感謝しています。有難うございました。
弁護士先生が接見に来てくれた時は地獄に仏と思った。釈放、示談、不起訴、社会復帰のすべてを実現
by 痴漢事件を起こしてしまった方ご本人
★★★★★
酩酊したまま警察署で事情聴取され一旦自宅待機させられたときにアトム法律事務所24時間受付の方に刑事弁護について相談させて頂きました。
そして約2時間後の朝7時、逮捕・拘留され、約5時間におよぶ事情聴取、全く時が進まない留置所の生活が始まりました。もう人生終わりだ…。と思った夜の8時30分、永田先生に接見して頂きました。(地獄で仏)
「検察に訴えて拘留を阻止…。不起訴になるよう示談し、告訴を取り下げて…。一刻も早く社会復帰ができるよう…。」信じられないような言葉の数々、しかしそれらをすべて迅速に実現して頂きました。
今、こうしてこれまでどおりの社会生活を送れるのは、アトム法律事務所および永田先生のおかげです。心底から自身の過ちを反省し、日々自分の言動に細心の注意を払って生活して参ります。
本当にありがとうございました。
処罰感情の強い被害者に対して、粘り強い交渉で示談成立。被害届は出されず、事件化せずに無事解決。
by 盗撮事件を起こしてしまった方ご本人
★★★★★
被害者の処罰感情がとても強く、事件化は避けられないと思っていました。
2ヶ月の期間の末、示談が成立し、被害届も出されることもなく終わり、とても感謝しております。
これからは、家族のため一生懸命働いて、償っていきたいと思います。
刑事事件に強い弁護士が、遠方の被害者との迅速な示談交渉で前科がつかなかった。会社対応も安心。
by 強制わいせつ事件を起こしてしまった方のご本人
★★★★★
この度は本当にありがとうございました。野崎先生には本当に感謝しています。1週間後に警察署に来るように言われ、とても不安で何か相談できないかとインターネットで見たのがアトム法律事務所でした。福岡にも事務所があり、刑事事件に強く、職場などへの対応も考慮していることから、かなり安心感がありました。
警察署に行き、逮捕され、これから長い取調べの日々が続くかと苦痛でしたが、野崎先生が被害者様との示談を急いで下さり、また警察署と事務所も遠いのにすぐに来て下さり、想像以上に早く出てくることができました。遠方の被害者様のところにもすぐに行ってくれて本当に助かりました。アドバイスもとても参考になりました。取調べの時もしっかり守ることができました。本当にありがとうございました。
弁護士先生の「本当に助けてあげたい」という熱意・人間味に感動。丁寧に説明・対応してくれた。
by 強姦未遂事件を起こしてしまった方のご家族
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突然の息子の逮捕の一報を受け、パソコンから様々な弁護士事務所を検索・調査した結果「刑事事件に強い!」「24時間受付」から翌朝電話しました。
私としても勿論すべてが初めてのことで何をしていいのか全く分からないのを、1つ1つ丁寧に説明・対応して下さいました。
特に驚いたと言いますか、感動したのは、先生方の「本当に助けてあげたい」という熱意・人間味です。
お蔭様で息子は示談成立、不起訴となりました。
先生方は息子の将来、希望、夢、光すべてを不可能な領域から全力で与えて下さいました。親共々感謝という一言ではとても終わらせられない、とても大きな感情を持ち続けていくと思います。
本当にありがとうございました。
粘り強い示談交渉で困難と思われた執行猶予付き判決を獲得。保釈中の生活面も適切に助言してくれた。
by 詐欺事件を起こしてしまった方のご家族
★★★★★
息子の突然の逮捕、勾留と何も解からず不安な毎日の中、野根先生には常に親身になり対応して頂き、息子も私も大変感謝致しております。難しいと思われていた執行猶予付き判決も頂き、被害者の方々への示談交渉や、保釈中での生活面等を適切に助言をして下さいました。
今は息子も仕事に従事し懸命に前を向き頑張っております。日々平凡な家族での生活に感謝し、これからも過ごして行きたいと思います。
野根先生を始め、アトム法律事務所の方々のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
野根先生、有難うございました。
今の状況や今後の処遇について丁寧に説明してくれたおかげで慌てずに対応できた。会社にも残れた。
by 窃盗未遂事件を起こしてしまった方ご本人
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